【理学療法士】レジデント制度とは?給料や研修内容、修了後の進路を元レジデントが解説

働き方・その他
こ~だい
こ~だい

最近、「レジデント」って制度を知って興味を持ってるんだけど、ゆ~きってレジデント出身だったよね?

ゆ~き
ゆ~き

そうだよ!3年間のレジデント制度を経て、現在は別の急性期病院に入職して働いているよ。

こ~だい
こ~だい

レジデント制度についての情報が少なくて…。どんな病院がやってて、どんな研修プログラムで、どんなキャリアアップを目指しているのか詳しく知りたいな!

ゆ~き
ゆ~き

確かにレジデント制度って、中身が見えにくいよね。

オッケー!なら今回は、経験談も交えつつ「日本のレジデント制度」がどういったものなのか解説していくね!

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はじめに

皆さんは、「レジデント制度」という臨床研修制度を知っていますか?

耳にしたことがなかったり、聞いたことはあるけど中身がわからなかったりする方が多いと思います。自分で探そうにも導入している施設が少なく、情報が乏しいのが現状です。

そこで今回は、レジデント制度を導入している複数の病院神戸市立医療センター中央市民病院、小田原市立病院、東京慈恵会医科大学附属病院など)の事例をもとに、一般的な共通項や特徴を挙げて、レジデントの概要について解説していきます。

リハビリにおけるレジデントとは?

レジデント制度とは、医師の臨床研修制度になぞらえて、日本の特定の医療機関が独自に導入している「理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の卒後臨床研修制度」のことです。

現在、リハビリテーション職には医師のように国で統一された卒後教育システムが存在しません。そのため、免許取得後の教育は各就職先に委ねられていますが、一部の病院では「レジデント制度」という形式をとり、体系的な人材育成を行っています。

レジデントとしての働き方

対象者

レジデント制度の対象者は、「新卒としてゼロから急性期の基礎を叩き込みたい人」、または「一度他の分野を経験したが、急性期医療のスキルを身につけ直してキャリアの幅を広げたい人(経験10年未満程度)」のいずれかです。

例えば、東京慈恵会医科大学附属病院では、回復期や生活期で働いていたスタッフが、改めて急性期医療の知識・技術を習得するための「学び直しの場」としても機能しています。

雇用形態・待遇

多くは「非常勤職員」や「任期付職員」などの有期雇用(契約社員扱い)です。

レジデントという呼称ですが、有資格者として雇用契約を結びます。 給与(月給または時給制)、社会保険、有給休暇などが整備されており、職員と同等の処遇を受けながら研修を行います。

【レジデント制度 給与体系・金額比較表(2025年)】

項目神戸市立医療センター
中央市民病院
小田原市立病院東京慈恵会医科大学
(葛飾医療センター等)
給与体系時給制月給制月給制
基本給与額時給 1,800円月額 217,700円(月150時間勤務の場合)月額 181,800円
(経験3年未満)
月額 195,700円
(経験3年以上)
賞与(ボーナス)記載なしあり(期末手当)あり(年2回:6月・12月)
諸手当時間外勤務手当、通勤手当時間外勤務手当、通勤手当時間外手当、通勤手当
雇用形態有期雇用職員
(レジデント)
会計年度任用職員嘱託職員
社会保険・休暇各種社会保険、有給休暇あり各種社会保険、有給休暇、住宅補助要件等あり私学共済(健保・年金)、雇用・労災保険、有給休暇あり

期間

原則として2年〜3年と決まっています(2年間に設定されているケースが多いです)。

到達目標

各施設では、単なる技術習得にとどまらない「全人的な療法士の育成」を目指した具体的な目標が設定されています。

施設名到達目標の概要
神戸市立医療センター中央市民病院1. 人格に優れた理学療法士となること。
2. 患者側に立って思考・行動する姿勢を持つこと。
3. チーム医療を円滑に遂行できること。
4. 医療の安全に常に配慮できること。
5. 幅広いプライマリケアの診療能力(態度・技能・知識)を修得すること。
6. 問題を発見・解決し、その成果を社会に発信できること。
小田原市立病院1. 臨床能力
2. 研究能力
3. 教育能力
日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院1. 医療安全に配慮した行動がとれること。
2. 患者・スタッフと良好な関係が構築できること。
3. 知識、技術、人格ともに優れた療法士となること。
4. 問題点の発見と対応が行えること。
5. 他職種と連携し、チーム医療を遂行できること。
6. 学んだ知見を外部へ発信できること。

これら内容を要約すると、以下の共通した目標が見えてきます。

高度な臨床能力とリスク管理

急性期医療の現場で、重篤な疾患や多様な症例を経験し、リスク管理やクリニカルリーズニング(臨床推論)のスキルを高めること。

ジェネラリストの育成

特定の疾患だけでなく、脳血管、運動器、心大血管、呼吸器、がんなど、幅広い領域に対応できる能力を養うこと。

アウトプット能力

臨床能力だけでなく、学会発表や論文執筆などの「研究能力」、および後進を指導する「教育能力」を身につけ、自らの考えを発信できる人材になること。

研修プログラムの構造

多くの施設で「屋根瓦式(先輩が後輩を教える多層的な構造)」の教育体制や、メンター(指導者)制度を取り入れているのが特徴です。

ローテーション研修

脳血管、運動器、循環器、呼吸器、がん、ICU(集中治療室)など、複数の診療科や領域をローテーションで回り、偏りのない経験を積みます。

例えば、神戸市立医療センター中央市民病院では、一般の回復期病院(年間30〜40症例)に比べ、2年間で約600症例と圧倒的に多くの経験を積むことができます。

OJT (On the Job Training)

実際の診療現場で、指導者(メンター)のサポートを受けながら患者を担当します。1年目は基礎固め、2年目はより専門的な資格取得(呼吸療法認定士など)や難易度の高い症例を目指すなど段階的に進められます。

Off-JT (Off the Job Training)

業務外での講義、オンラインセミナー、症例検討会、論文抄読会などが組み込まれています。

学術・研究活動

臨床業務だけでなく、年数回の症例報告、学会発表、論文投稿がカリキュラムに含まれており、大学院修了者などからの指導を受けられる環境があります。

修了後の進路先

「レジデントが終わったらどうなるの?」というのは気になるところですよね。

修了後の進路先は個々人のキャリアプランに応じて多岐にわたります。神戸市立医療センター中央市民病院の例では、平成26年から令和4年までの修了者(計67名分)のデータによると、以下のような内訳になっています。

  • 回復期病院:21名(最も多い進路の一つ)
  • 自施設(中央市民病院)での採用:19名
  • 他の急性期病院:15名
  • 訪問リハビリテーション:5名
  • 整形外科クリニック:3名
  • 小児施設:3名
  • その他(鍼灸院・スポーツ分野):1名

このデータから分かるのは、「必ずしも自施設に残るわけではなく、他の病院やクリニックへ羽ばたく人が多い」ということです。 急性期での厳密なリスク管理を学んだ人材は、高齢化社会において回復期や在宅(訪問)の現場でも強く求められている、という背景があると考えられます。

レジデント実施施設(一例)

全国でレジデント制度を導入している主な施設を紹介します。

東北・関東地方

東海地方

関西地方

中国地方

九州地方

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さいごに

最後までご覧いただきありがとうございます。 今回は、全国の事例をもとに「リハビリテーション職のレジデント制度」について解説しました。

レジデント修了後の進路は、「急性期での武者修行で得た『リスク管理能力』というパスポートを持って、自分の進みたい専門分野へ羽ばたいていく」というイメージが近いです。制度の目的が「どこでも通用するジェネラリストの育成」や「基礎固め」にあるため、進路先は特定の病院形態に縛られず、幅広い選択肢が開かれています。

もしレジデント制度に興味を持った方は、まずはご自身のキャリアプランに合った制度のある施設を探してみるところから始めてみてくださいね!

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