
心リハ指導士の勉強を始めたいけど、「必携」の最初の方(総論)って解剖とか生理学ばかりで、どこを覚えればいいか分からないよ…。

確かに基礎となる部分は覚えることが多いから大変だよね。
ただ網羅的に覚えるのではなくて「主に臨床で必要な知識」って何かを理解することが重要なんだよね。

今日は、試験によく出るポイントと、臨床で役立つ「解剖学・生理学の基本」を整理して解説するね!

よろしくお願いします!
はじめに
心リハ指導士試験のためのこれから試験勉強を始めてみても覚える量の多さに辟易している方が多いかと思います。この記事では、心リハ指導士をこれから受ける方向けに循環器系の解剖や機能の基本部分についてピックアップして解説していこうと思います。
わかりやすく解説していきますのでよろしくお願いします。
今回、主に参考にした図書は、「2021年改訂版 心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン」と、日本心臓リハビリテーション学会が出版している「-指導士認定試験準拠- 心臓リハビリテーション必携 増補改訂版」です。
心臓の解剖と機能
心臓の解剖と機能については、必ず出題される単元になってます。この基本的な知識がなければ症候や病態、今後行う運動療法の応用についても理解ができなくなってしまいます。ポイントを絞って解説するので必ず覚えておきましょう。
冠動静脈の走行と支配領域
冠動脈は、冠動脈起始部から右冠動脈(RCA)、左冠動脈に分岐して、左冠動脈から左前下行枝(LAD)、左回旋枝(LCX)の2本の枝に分岐します。
| 冠動脈の灌流域 |
|---|
| ・右冠動脈 右心室、左心室下壁、下部心室中隔、右心房、洞結節、房室結節 ・左前下行枝 心室中隔2/3、左心室前壁 ・左回旋枝 左心室側壁、後壁、左心房 |
それぞれの灌流域の広さは、左前下行枝が左心室の約40%、右冠動脈と左回旋枝がそれぞれ約25‐35%とされていますが、すべての冠動脈の灌流領域の配分は個人差が大きいとされています。
後下行枝を、右冠動脈が走行する型を右型(約90%)、左回旋枝が走行する型を左型(10%)といいます。

冠静脈は、心筋から血液を受け取って冠動脈と伴走して左房室間溝にある冠静脈洞に流入して右心房に戻ります。
冠静脈でも最も大きいのが、大心臓静脈で、心尖部から前室間溝を左前下行枝と伴走して上行したのち、左房室間溝を左回旋枝と伴走して冠静脈洞に流入します。

心臓弁
心臓には房室弁(僧帽弁、三尖弁)、半月弁(大動脈弁、肺動脈弁)4つの弁があります。これら弁は、心臓の収縮弛緩に対応して開閉し、血流を一方向に定めて逆流を防いでくれています。

また僧帽弁は前尖と後尖からなる二尖弁となっています。
心臓を弁が閉じなくなってしまった場合を「閉鎖不全症」、開きにくくなってしまった場合を「狭窄症」といいます。
刺激伝導系
刺激伝導系は、特殊心筋と呼ばれる右房の上大静脈との接合部近傍に存在する洞房結節、房室結節、ヒス束、右脚と左脚、プルキンエ線維からなります。
刺激伝導系の全ての細胞は、自動能があり、洞結節100~120/分であり正常の場合は洞結節がペースメーカーとなって正常洞調律を作ります。上位の刺激伝導系が障害された場合は、下位の伝導系がより遅いレートで補充調律を形成するとされています。房室接合部調律が40~50/分、固有心室調律が30~40/分となります。

冠循環と心筋酸素消費量
心臓は絶え間なく収縮、弛緩するために大量のATPを必要とします。心筋への大量のATP産生は、心筋細胞内のミトコンドリアにおける酸化的リン酸化により行われ、多量の酸素が消費されます。冠動脈による心筋への血液循環システムのことを冠循環といいます。
心筋の酸素消費量は、安静時でも全体の70%に及び、それ以外の臓器が25%であることを考えると非常に高いことが伺えます。
また冠循環において、心臓以外の臓器は心臓の収縮期により多くの血液が流れますが、主に左冠動脈領域は収縮期の血流が拡張期に多く流れます。

無気的代謝と有気的代謝
無気的代謝と有気的代謝について以下の記事で解説してますのでぜひご覧ください。
例題
冠動静脈の走行と支配領域
次のうち誤っているものを選びなさい。
- 前室間溝には左前下行枝が走行し、後室間溝には後下行枝が走行する。
- 灌流域の広さは左前下行枝が左室の25-35%、右冠動脈と左回旋枝が40%である。
- 左房室間溝は左回旋枝に伴走して心臓後面に回る。右冠動脈は右心室と下部心室中隔を、左回旋枝は左心室側壁と後壁を灌流している。
- 後下行枝を右冠動脈が走行する場合は右型、左回旋枝が走行する場合は左型とよぶ。
●解答
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- b.
心臓弁
二尖弁であるものを選びなさい。
- 肺動脈弁
- 大動脈弁
- 僧帽弁
- 三尖弁
- 適当なものはない
●解答
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- c.
冠循環と心筋酸素消費量
次のうち誤っているものを選びなさい。
- 大動脈は半月弁と呼ばれる弁構造をしている。
- 上位の刺激伝導系が障害された場合は下位の伝導系がより遅いレートで補充調律を形成する安全機構ができている。
- 心筋では多量のATP産生はミトコンドリアで酸化的リン酸化により行われる。
- 冠循環では、拡張期の血流は少なく収縮期に多く血流が流れる。
- 心筋酸素消費量を規定する因子は、心拍数、心筋収縮性、心室壁張力である。
●解答
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- d.
無気的代謝と有気的代謝
次のうち正しいものを選びなさい。
- 無気的代謝と有気的代謝は密接に関連しており、純粋な無酸素運動や有酸素運動は存在しない。
- 有酸素運動は、一般的にピルビン酸が蓄積せずに長時間持続できる範囲の運動強度のことを言う。
- ATP-PCr系はピルビン酸1分子の分解で38分子のATPが生成される。
- 解糖系では、細胞内のミトコンドリアでATPが生成される。
- 運動が長時間に及ぶと有機的に使われるたんぱく質の比率が高くなり、エネルギー効率が高くなる。
●解答
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- a.
さいごに
ここまでご覧いただきありがとうございます。
今回は、循環器の解剖・機能の必須ポイントについてまとめてみました。解剖や機能については基礎なる部分ですが複雑でわかりにくいところもあると思いますが、わかりやすく図解してあるのでイメージが付きやすいかなと思います。模擬問題もぜひ活用して理解と知識の定着を図っていただければ幸いです。
この学びが心リハ指導士試験合格への一助となればと思っています。
参考文献
- 日本心臓リハビリテーション学会(2022).「-指導士資格認定試験準拠- 心臓リハビリテーション必携」増補改訂版.p2-22.
- 日本循環器学会/日本心臓リハビリテーション学会(2021).「心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン」.https://www.jacr.jp/cms/wp-content/uploads/2015/04/JCS2021_Makita2.pdf.

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