【心リハ試験対策】フレイルとサルコペニアの違い|AWGS 2019・J-CHS基準のカットオフ値を図解

心リハ指導士 試験対策・過去問
この記事の概要

「フレイル」と「サルコペニア」の違い、明確に説明できますか?本記事では、心リハ指導士試験で必ず狙われる「J-CHS基準」や「AWGS 2019」の診断カットオフ値(握力や歩行速度等)から、具体的な運動処方・食事療法までを図解と表で分かりやすく解説。オリジナル模擬問題付きで試験対策は完璧です!

こ~だい
こ~だい

『フレイル』と『サルコペニア』って、似ててごっちゃになるんだよね…。診断基準も改訂されたりして、結局どれを覚えればいいの?

ゆ~き
ゆ~き

その悩み、すごくわかるよ!でも、心リハ指導士試験でも臨床現場でも、この2つの『明確な違い』と『診断カットオフ値』は絶対に避けて通れない最重要項目なんだ。
特にサルコペニアの『AWGS 2019』基準は、試験での超・頻出ポイントだよ。今回は、複雑な診断フローを一目でわかるように整理して、明日からの臨床と試験勉強にそのまま使える形で解説していくね!

スポンサーリンク
✓ 3分でわかる!この記事のポイント
  • フレイル(J-CHS基準)とサルコペニアの明確な違い
  • 絶対暗記!「AWGS 2019」の診断フローとカットオフ値
  • 推奨される運動療法(FITT)と「CKD」の食事療法のひっかけ
  • 知識を定着させる「オリジナル模擬問題(2問)」

はじめに

近年、臨床現場で急増している「サルコペニア」や「フレイル」の患者さん。「言葉は知っているけれど、それぞれの定義や診断基準の違い、具体的なリハビリ方法までは曖昧…」という方も多いのではないでしょうか?

特に心リハ指導士試験を目指す方にとって、J-CHS基準やAWGS 2019などの診断基準は、数字がごちゃごちゃになりがちな「暗記の鬼門」です。そこで今回は、「試験に出るポイント」に絞って体系的に解説します。実は、フレイルとサルコペニアには「共通する基準値」があり、コツさえ掴めば暗記は簡単です!

※主に『2021年改訂版 心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン』と、公式テキストである『心臓リハビリテーション必携』を参考に作成しています。

また、他の参考書に手を出すよりも、この「必携」を徹底的に読み込むことが合格への近道です。

試験勉強に必須となるテキスト「心臓リハビリテーション必携」は、Amazon等の一般書店では取り扱われていません。 以下の学会公式サイトからのみ購入可能です。

👉 購入はこちら:日本心臓リハビリテーション学会 図書購入ページ

フレイル (Frailty) とは?

定義

フレイルとは、「加齢に伴う予備能力低下のため、ストレスに対する回復力が低下した状態」を指す包括的な概念です。

Heart Failure Association (HFA) の定義では以下のように示されています。

「年齢に依存しない多次元的で動的な脆弱状態であり、ストレス要因による有害事象に対して個体を脆弱にするもの」

The Dual Burden of Frailty and Heart Failureより引用

重要ポイントは、フレイルには身体的側面(Physical Frailty)だけでなく、精神・心理的側面(うつ、認知機能低下)や社会的側面(独居、経済的困窮)も含まれるということです。

心不全患者の約半数がフレイルを合併しており、フレイル合併例は1年以内の死亡リスクが約2倍になることが知られています。

診断方法(J-CHS基準)

日本では、Friedの表現型モデルを日本人向けに改訂した「J-CHS基準」が用いられます。試験では「5項目すべて」を覚える必要があります。

【判定】

  • 1〜2項目:プレフレイル
  • 3項目以上:フレイル
評価項目 該当する基準
1. 体重減少 6ヶ月で2kg以上の(意図しない)体重減少
2. 筋力低下 握力: 男性 < 28 kg、女性 < 18 kg
3. 疲労感 (ここ2週間)わけもなく疲れたような感じがする
4. 歩行速度 通常歩行速度 < 1.0 m/s
5. 身体活動 「軽い運動・体操」および「定期的な運動・スポーツ」を両方とも「週に1回もしていない」
スポンサーリンク

サルコペニア (Sarcopenia) とは?

定義

サルコペニア診療ガイドラインでは以下のように定義されています。

「加齢あるいは慢性疾患に伴う骨格筋量の減少筋力・身体機能低下を特徴とする症候群」

サルコペニアの定義と診断より引用

つまり、フレイルの中核となる「身体的要因(筋肉)」に焦点を当てた病態です。

分類(一次性と二次性)

試験ではこの分類も問われます。「加齢だけが原因ではない」点に注意しましょう。

サルコペニアの分類
1. 一次性サルコペニア(加齢性サルコペニア)
 加齢以外に明らかな原因がないもの。
2. 二次性サルコペニア
 加齢以外の明確な原因があるもの。
活動量に関連: 寝たきり、不活発な生活習慣、廃用など。
・疾病に関連: 癌、重症臓器不全(心不全など)、炎症性疾患など。
・栄養に関連: 摂取エネルギー・タンパク質不足、吸収不良など。

診断方法(AWGS 2019)

アジア人の体格を考慮したAWGS 2019(Asian Working Group for Sarcopenia 2019)が標準です。

【診断フロー】

  1. スクリーニング: 「筋力低下」または「身体機能低下」があるか?
  2. 確定診断: 「骨格筋量の低下」があるか?
評価項目 男性 カットオフ値 女性 カットオフ値
① 筋力 握力 < 28 kg 握力 < 18 kg
② 身体機能 5回椅子立ち上がり ≧ 12秒
または 通常歩行速度 < 1.0 m/s
③ 骨格筋量 DXA: < 7.0 kg/m²
BIA: < 7.0 kg/m²
DXA: < 5.4 kg/m²
BIA: < 5.7 kg/m²
  • サルコペニアの可能性(Possible): 「①または②」に該当(※BIA等の設備がない場合)
  • サルコペニア: 「①または②」 + 「③」
  • 重症サルコペニア: 「①、②、③のすべて」に該当
ゆ~きの暗記ポイント

お気づきですか?実はフレイル(J-CHS基準)とサルコペニア(AWGS 2019)のカットオフ値は、「握力(男28kg / 女18kg)」と「歩行速度(1.0m/s)」が全く同じです!ここだけ覚えておけば両方に対応できます。

スポンサーリンク

運動療法

単一の運動ではなく、有酸素・筋トレ・バランスを組み合わせた複合的な運動療法(Multicomponent intervention)が推奨されています。
特に国際サルコペニア・フレイル研究会議(ICFSR)のガイドラインでは、レジスタンストレーニング(筋トレ)を「強く推奨」しています。

項目 有酸素運動(持久力) レジスタンストレーニング
頻度(F) 週5回以上 週2〜3回
強度(I) Borg scale 11~13(楽~ややきつい) 40〜60%の強度(8〜10回繰り返せる負荷)
※適切なフォームを維持できる速度で
時間(T) 1日合計 20〜30分以上 1セット8〜12回 を 2〜3セット
種類(T) ウォーキング、エルゴメーターなど ダンベル、ウェイトマシン、弾性バンド、自重

※これらに加え、継ぎ足歩行や障害物歩行などの「バランストレーニング(転倒予防)」を徐々に難易度を上げながら組み込みます。

食事療法

運動だけでは筋肉はつきません。材料となる栄養が必要です。

必要栄養量の算出

Harris-Benedictの式や、簡易式(25~30 kcal/kg/日)を用いて算出します。

蛋白質(Protein)

サルコペニア予防には、体重あたり 1.0~1.2 g/日 の摂取が推奨されています。

重要】 1食でまとめて摂るのではなく、3食均等に摂取する方が筋合成が高まります。

試験頻出の注意点(ひっかけ問題)

「とにかくタンパク質を多く摂れば良い」わけではありません。CKD(慢性腎臓病)で腎機能が低下している患者さん(例:eGFR G3b以降など)では、タンパク質制限(0.8g/kg/日など)が必要な場合があります。この例外規定が試験でよく狙われます。

ビタミンDの摂取

ビタミンDはテストステロン生成を促し、骨格筋合成を促進します。血中濃度が低い場合はサプリメント等の補充も検討されます。

スポンサーリンク

模擬問題に挑戦!(全2問)

最後に、今回の内容を理解できたか確認してみましょう。心リハ指導士試験を意識した形式です。「解答と解説を見る」をタップして答え合わせをしましょう!

問題1:食事管理の基礎

サルコペニア・フレイルの食事管理について誤っているものを2つ選びなさい。

  1. 必要栄養量は体重あたり20kcal/日を目安に摂取する。
  2. 蛋白質摂取量は体重1.0‐1.2g/日を目安に摂取する。
  3. ビタミンDはテストステロン生成を阻害して骨格筋の蛋白質合成を阻害する。
  4. 蛋白質摂取は同化の観点から偏りなく3食摂取することが望ましい。
  5. 高齢CKD患者においては蛋白質摂取量を0.8g/標準体重/日を目安とする。
👉 解答と解説を見る(タップで開閉)
正解:a, c
【解説】
a:必要栄養量は体重あたり「25〜30kcal/日」が目安です。
c:ビタミンDは骨格筋合成を「促進」します。
問題2:評価と診断・介入について

サルコペニア・フレイルの評価と介入について誤っているものを2つ選びなさい。

  1. サルコペニアとフレイルに共通する予防および介入方法は栄養療法と運動療法である。
  2. 日本語版CHS基準では男性の筋力低下は26kg未満である。
  3. サルコペニアのリスクが高い症例にはSARC-Calfなどのスクリーニングを行うことが望ましい。
  4. SPPBが9点未満の場合は低身体機能としてサルコペニアの可能性があると診断される。
  5. サルコペニアは加齢による不可逆的な変化であり、介入による改善は見込めない。
👉 解答と解説を見る(タップで開閉)
正解:b, e
【解説】
b:J-CHS基準およびAWGS 2019において、男性の握力カットオフ値は「28kg未満」です。
e:サルコペニアは適切な運動療法と栄養介入により「可逆性(改善が見込める)」があります。
スポンサーリンク

さいごに

ゆ~き
ゆ~き

ここまでご覧いただきありがとうございました。

サルコペニアとフレイルの定義や診断方法から治療方法について解説しました。

ガイドラインでは、サルコペニアに対してレジスタンストレーニングを行うことを強く推奨しており、個別ケースに応じてテーラーメイドに有酸素運動やバランス訓練などの運動療法をプログラムに組み込むことが重要であることが分かったかと思います。

前回と同様に例題を用意したので、解いてみると理解がさらに深まると思います。

ゆ~き
ゆ~き / 理学療法士・心リハ指導士

急性期病院に勤務する現役理学療法士(臨床経験6年)。心臓リハビリテーション指導士の資格を活かし、若手セラピストが「明日からすぐ使える」実践的な知識を分かりやすく発信中!データ分析や医療AIにも関心があります。

X(旧Twitter)でも最新情報を発信中!

CPXや循環器リハビリ、医療×AIに関する情報など、明日からの臨床の疑問を解決するヒントを日々ポストしています。
ブログ『ゆ~きのリハラボ』の最新の更新情報も発信していますので、ぜひフォローして一緒に学びましょう!

ゆ~きのリハラボ(@LNe32689)をフォローする

参考文献

  • 日本心臓リハビリテーション学会(2022).「-指導士資格認定試験準拠- 心臓リハビリテーション必携」増補改訂版. pp178-181, 327-328.
  • Vitale C, Spoletini I, Rosano GM. The Dual Burden of Frailty and Heart Failure. Int J Heart Fail. 2024 Jul;6(3):107-116. https://doi.org/10.36628/ijhf.2023.0057
  • 日本循環器学会/日本心臓リハビリテーション学会(2021).「心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン」.https://www.jacr.jp/cms/wp-content/uploads/2015/04/JCS2021_Makita2.pdf.
  • Ambarish Pandey, et al. Frailty Status Modifies the Efficacy of Exercise Training Among Patients With Chronic Heart Failure and Reduced Ejection Fraction: An Analysis From the HF-ACTION Trial. Volume 146, Number 2 2022.
  • Prapromporn Pinijmung, et al.Prevalence and Impact of Sarcopenia in Heart Failure: A Cross-Sectional Study. The Open Cardiovascular Medicine Journal. 2022. https://opencardiovascularmedicinejournal.com/VOLUME/16/ELOCATOR/e187419242202240/
  • Dent E, et al. International Clinical Practice Guidelines for Sarcopenia (ICFSR): Screening, Diagnosis and Management. J Nutr Health Aging. 2018;22(10):1148-1161. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30498820/
  • Izquierdo M, et al. International Exercise Recommendations in Older Adults (ICFSR): Expert Consensus Guidelines. J Nutr Health Aging. 2021;25(7):824-853. doi: 10.1007/s12603-021-1665-8. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34409961/
スポンサーリンク

コメント

タイトルとURLをコピーしました