
ウォーミングアップとかクールダウンっていつもしてるけど効果とかあんまりわかってないな~

じゃあ今日はこれらについて解説していくよ!

おぉ~!助かります!
はじめに
心臓リハビリテーション(心リハ)において、運動療法の核となるのは 開始から終了までの一連の流れです。私たちは「有酸素運動」「レジスタンストレーニング」「日常生活動作の増加」などを重視しがちですが、実はその前後に行う「ウォーミングアップ」および「クールダウン」も、循環器疾患患者の安全性・運動効果・予後改善の観点から極めて重要です。
本稿では、心リハを実践する理学療法士・心リハ指導士の皆様に向けて、ウォーミングアップとクールダウンの目的・生理的意義・具体的実践ポイント・現場での注意点を整理します。これらを運動処方の標準化・安全運動強度の設定・患者教育の一環として活用することで、質の高い心リハ実践に資する内容としてご活用いただければ幸いです。
ウォーミングアップ・クールダウンとは
【ウォーミングアップ】
運動を安全に実施するための準備体操のこと
【クールダウン】
運動を安全に終了するための整理体操のこと
ウォーミングアップの機序と効果
ウォーミングアップの効果は各臓器で見られます。ここでは肺、心臓、血管、筋に分けて解説します。

肺への効果

静脈還流量の増加により肺循環量が増加することで、換気血流比不均等(V/Qミスマッチ)が改善されます。これにより生理学的死腔が減少して、運動早期の過換気が抑制されることで酸素摂取量が改善されます。
心臓への効果
心筋虚血と左室収縮能低下を防ぐことが示されてます。
血管への効果
運動に伴い働く筋群の血管拡張を促進することで、血管抵抗の減少から後負荷を減少させます。特に重度の糖尿病患者や重症心不全患者は血管拡張に時間を要することが知られています。
筋への効果

筋・関節結合組織の伸展性を高めて、関節可動域を改善し、骨格筋の傷害予防をもたらします。
また代謝面では、運動直後のエネルギー産生は筋内のATP分解と「ATP-PCr系」から始まり、「解糖系」を経て「有酸素系」へと移行します。ウォーミングアップはこの移行をスムーズに行うことができます。これにより、解糖系で生じるであろう過剰な乳酸の産生を抑制し、換気増大やカテコラミンの過剰分泌を抑えることができます。
クールダウンの機序と効果
クールダウンも同様に効果は各臓器で見られます。心臓、自律神経系、筋に分けて解説します。

心臓への効果
急激な運動終了による静脈還流量の減少(Venous Pooling)を防ぐことで、心拍出量・冠血流量の維持を図ります。これにより、低血圧症状やめまい、心筋虚血による重篤な不整脈を防ぎます。
自律神経系への効果
ゆっくり負荷を落としていくことで交感神経の緊張を緩徐に落ち着かせていきます。これにより血管迷走神経反射を抑制することで、急激な徐脈とそれに伴う血圧低下、めまい、ふらつき、激しい倦怠感等を防ぐことができます。
その他、体温の低下や乳酸の除去(ウォッシュアウト)を促進することで、カテコラミンの過剰分泌を防ぎ、不整脈の出現も予防します。 特に運動終了直後は不整脈が出現しやすいため、クールダウンには十分な時間(少なくとも2~3分以上)を設けた方が良いとされています。
オススメのウォーミングアップ・クールダウン
順天堂大学がYoutubeにわかりやすい動画を載せていたのでこちらを参考にしていただくのが良いかと思います。
最後に

ウォーミングアップは、心筋虚血や重症心不全の患者さんには低強度かつ健常人よりも長め(ストレッチを含め5~10分程度)に行うことで、運動早期の過換気や呼吸困難感、重篤な不整脈の出現を防ぐことができます。
クールダウンは、負荷終了後にそのまま止めず、数分間、足を動かし続けることで静脈還流量の急激な減少や心拍出量・冠血流量の低下、血管迷走神経反射を防ぐことができます。
適切なウォーミングアップとクールダウンを行うことで、安全かつ効果的にメインの運動負荷をかけていくことができます。ぜひこの生理学的背景を考慮して、患者さんに指導してみましょう。
参考文献
- 「-指導士資格認定試験準拠- 心臓リハビリテーション必携」増補改訂版, p288-289, 2022.
- C Foster et al.:Effect of warm-up on left ventricular response to sudden strenuous exercise, 1982.
- R J Barnard et al.:Ischemic response to sudden strenuous exercise in healthy men, 1973.


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