心リハ指導士試験の最重要項目「CPX(心肺運動負荷試験)」を基礎から徹底解説。試験室の要件、絶対禁忌・相対禁忌の覚え方、Ramp負荷試験の特徴など、合格に必要な知識を網羅しました。まずはここからスタート!

今回は、心リハ指導士試験の『必須問題(一番の山場)』であるCPX(心肺運動負荷試験)について、【前編】として基礎知識(適応・禁忌・プロトコール)を解説します! 最後にオリジナルの模擬例題も用意しているので、ぜひ最後まで挑戦して力試しをしてくださいね!
- 意外と出る?検査室の「環境要件(広さ・温度)」
- 試験の頻出!絶対禁忌と相対禁忌の「ひっかけ」
- Ramp負荷と多段階漸増負荷の「使い分け」
- 知識を定着させる「オリジナル模擬問題(3問)」
はじめに
心肺運動負荷試験(CPX)は、心リハ指導士試験において最も出題頻度が高く、合否を分ける最重要項目です。 目的や適応はもちろん、実施の流れや数値(9パネルなど)の意味など、覚えるべき事項は多岐にわたります。
そこで今回は、CPXについて「前編:基礎・実施編」と「後編:データ解読編」の2回に分けて、試験に必要な部分だけを抽出して解説します。
主に参考にした図書は、『2021年改訂版 心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン』と、安達仁先生著の『CPX・運動療法ハンドブック』、そして公式テキストの『心臓リハビリテーション必携』です。
また他の参考書に手を出すよりも、この「必携」を徹底的に読み込むことが合格への近道です。
試験勉強に必須となるテキスト「心臓リハビリテーション必携」は、Amazon等の一般書店では取り扱われていません。 以下の学会公式サイトからのみ購入可能です。
👉 購入はこちら:日本心臓リハビリテーション学会 図書購入ページ
※CPXの全体像や実施の流れについて基礎から復習したい方は、以下の入門記事も併せてご参照ください。
▼ CPXの基礎知識についてはこちら
▼ ATの判別法についてはこちら
運動負荷試験の実際|試験室の要件
意外と見落としがちですが、運動負荷試験を行う部屋の「環境要件(広さや温度)」も試験に出題されることがあります。
心肺運動負荷試験を行う検査室は、採光が十分で清潔かつ換気がよく、温度は25℃前後、湿度は60%程度が望ましい。部屋の広さは最低4m×4m程度で、下肢挙上可能なベッド、データ処理用の机が必要である。
-指導士認定試験準拠- 心臓リハビリテーション必携 増補改訂版より引用
「4m×4m」「25℃前後」という数字は、選択肢のひっかけで出ることがあるので覚えておきましょう。
運動負荷試験の適応と禁忌
運動負荷試験には、CPXだけでなく「6分間歩行テスト」なども含まれます。
原則として、200m程度の歩行が可能な運動耐容能を有している場合は、運動負荷試験が可能です。
試験で最も狙われる「絶対禁忌」と「相対禁忌」の違いを整理します。
| 🚫 絶対禁忌(絶対に行ってはいけない) | ⚠️ 相対禁忌(慎重に判断する) |
|---|---|
|
・急性心筋梗塞(発症3日以内) ・不安定狭心症 ・症候性のコントロール不良の不整脈 ・症候性重症大動脈弁狭窄症 ・コントロール不良の症候性心不全 ・急性肺塞栓・肺梗塞 ・急性心筋炎・心膜炎 ・運動機能に影響を及ぼす急性の非心臓性疾患(感染症、腎不全など) ・下肢の深部静脈血栓症 |
・左冠動脈主幹部(LMT)の狭窄 ・中等度狭窄性弁膜症、無症候性大動脈弁狭窄症 ・電解質異常 ・著明な高血圧・肺高血圧 ・頻脈性不整脈・徐脈性不整脈 ・肥大型心筋症 ・高度房室ブロック ・試験協力不能を招く精神的障害 |
「左冠動脈主幹部(LMT)狭窄」や「高度房室ブロック」は、いかにも危険そうなので「絶対禁忌」と間違えやすいですが、ガイドライン上は『相対禁忌』に分類されます。このひっかけ問題は超頻出です!
CPXの目的・適応
CPXが用いられる目的として以下が挙げられます。
- 運動耐容能の評価
- 労作時呼吸困難や動悸などの鑑別診断
- 心血管疾患の評価
- 呼吸器疾患の評価
- 術前や肺、心移植のための評価
- 運動処方(ATレベルの決定)
- 治療効果の判定
実施時期に関しては主治医と相談しながら決定しますが、虚血性心疾患における目安は以下の通りです。
| 実施時期の目安(虚血性心疾患) |
|---|
| ・心筋梗塞後 4~6日目: 準最大負荷検査 ・心筋梗塞後 14~21日目: 症状限定検査 ・術後: 7~10日目以降 ・外来心リハ: 治療経過に合わせて定期評価 |
CPXの運動負荷プロトコール
CPXを行うにあたって、どのようなペースでペダルを重くしていくか(運動負荷プロトコール)を選択します。主に以下の3つがあります。
- 一段階負荷試験:一定の負荷をかけ続ける
- 多段階漸増負荷試験:階段状に負荷を上げる。虚血(狭心症)の誘発に適している。
- ramp負荷試験(直線的漸増負荷法)
実臨床のCPXでは、基本的に「ramp負荷試験」が用いられます。自転車エルゴメーターを使用し、1分ごとに10~20W程度(患者の体力に合わせて設定)のペースで、滑らかに連続して負荷を増加させる方法です。
※アスリートなどでは30-40W/分で行うこともありますが、心疾患患者では10W/分などの低負荷設定が一般的です。
ramp負荷から得られる指標
CPXを実施することで、疾患の鑑別や運動処方に応用できる以下の重要な指標が得られます。これらの具体的な読み方や意味は、【後編】で詳しく解説します。
▼ 換気指標の時系列データ

▼ 9パネル

疾患の鑑別や運動処方に応用できる指標として以下が挙げられます。
- 最大酸素摂取量(VO2 max)、最高酸素摂取量(Peak VO2)
- 嫌気性代謝閾値(AT)
- 酸素脈(VO2/HR, O2 Pulse)
- VE vs VCO2 slope
- ΔVO2/ΔWR
- 呼吸性代償開始点(RC point)
主にこれら指標が得られます。
模擬問題に挑戦!(全4問)
実際の試験を想定した問題です。「解答と解説を見る」をタップして答え合わせをしましょう。
さいごに

最後までご覧いただきありがとうございました。
今回は【前編】として、CPXの適応や禁忌、プロトコールの基礎知識を解説しました。
『絶対禁忌と相対禁忌の違い(LMT狭窄など)』や『Ramp負荷と多段階負荷の使い分け』は試験で確実に出るポイントですので、しっかり整理して暗記しておきましょう。
次回の記事では、いよいよ試験の最大の山場である『AT(嫌気性代謝閾値)の決定方法』や『9パネルグラフの読み方』を、実践的な例題を使って分かりやすく解説します!
『グラフを見るのが苦手…』という方は必見です!今日の学びが、皆さんの合格と明日の臨床の一助になれば幸いです。
👉 次回の記事はこちら: 【後編】AT決定・データ解読編へ
急性期病院に勤務する現役理学療法士(臨床経験6年)。心臓リハビリテーション指導士の資格を活かし、若手セラピストが「明日からすぐ使える」実践的な知識を分かりやすく発信中!データ分析や医療AIにも関心があります。
CPXや循環器リハビリ、医療×AIに関する情報など、明日からの臨床の疑問を解決するヒントを日々ポストしています。
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参考文献
- 日本心臓リハビリテーション学会(2022).「-指導士資格認定試験準拠- 心臓リハビリテーション必携」増補改訂版. pp190ー214.
- 日本循環器学会/日本心臓リハビリテーション学会(2021).「心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン」.https://www.jacr.jp/cms/wp-content/uploads/2015/04/JCS2021_Makita2.pdf.





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