【前編】閉塞性動脈硬化症の症状・治療・重症度分類を心リハ指導士が徹底解説!

閉塞性動脈硬化症の症状・治療・重症度分類 心リハ・臨床実践
この記事の概要

「歩くとふくらはぎが痛くなる…」それは閉塞性動脈硬化症(ASO)のサインかもしれません。本記事では、心リハ指導士がASOの症状と重症度を示す「Fontaine(フォンテイン)分類」から、ABI検査の見方、重症度別の治療内容、危険因子(LDLや血圧)の管理目標値までを分かりやすく解説します。

こ~だい
こ~だい

最近、歩行訓練中に『ふくらはぎが痛くて歩けない』と訴える患者さんがいたんだけど、これって整形外科的な問題なのかな…?

ゆ~き
ゆ~き

もちろん整形の可能性もあるけど、休むとまた歩けるようになるなら、足の血管が詰まる『閉塞性動脈硬化症(ASO)』かもしれないよ!
心臓リハビリテーションの分野でも、このASOは非常に重要な疾患なんだ。今回は、ASOの症状や重症度分類、そして治療内容について【前編】として解説していくね!

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✓ 3分でわかる!この記事のポイント
  • ASOとは?下肢閉塞性動脈疾患のメカニズム
  • 試験に頻出!「Fontaine(フォンテイン)分類」の4段階
  • ASOの診断に必須な「ABI検査」の数値の見方
  • 重症度別の治療内容と「5つの危険因子」の目標値

はじめに

閉塞性動脈硬化症(ASO:arteriosclerosis obliterans)とは、動脈硬化性の下肢閉塞性動脈疾患(LEAD)のことを指します。脚へ血液を供給する腹部大動脈から足部に至る動脈に、動脈硬化による狭窄や閉塞が生じ、血流障害を引き起こす病気です。

今回は、ASOの重症度分類、重症度別の治療方針、リスク管理について解説しようと思います。

※主に『2021年改訂版 心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン』等を参考に作成しています。

どうなる?ASOの症状・重症度分類

ASOの重症度分類は、「Fontaine(フォンテイン)分類」によって下肢の症状の程度に伴いⅠ~Ⅳ度に分けられます。初期から進行するにつれて、以下の症状がみられます。この分類は試験や臨床で頻出です!

Fontaine分類 症状と特徴
Ⅰ度 無症状(冷感やしびれのみの場合も)
Ⅱ度 『間欠性跛行(かんけつせいはこう)』
歩くと脚(特にふくらはぎ)が痛くなって歩けなくなり、しばらく休憩するとまた歩けるようになる。
Ⅲ度 『安静時疼痛』
安静時や夜間臥床時にも足に強い痛みを生じる。
Ⅳ度 『潰瘍・壊疽(えそ)』

※ Fontaine III度およびIV度は、下肢切断のリスクが極めて高い重症な状態であるため、現在では「包括的高度慢性下肢虚血(CLTI)」(かつての重症下肢虚血:CLI)と総称されます。

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ASOの診断と「ABI」

ASOの診断には、主に「機能検査」「画像検査」の2つが用いられます。

機能検査

機能検査で最も有用かつ、臨床で頻繁に目にするのが足関節上腕血圧比(ABI:Ankle-Brachial Index)です。仰向けで両腕・両足首の血圧を同時に測り、その比率を出します。

試験対策ポイント:ABIの数値基準
  • ABI ≦ 0.9: 動脈の狭窄や閉塞を強く疑い、ASOとして診断を進めていきます。
  • ABI > 1.40: 血管の石灰化(硬すぎる)により高値を示して正確に測れない状態です。この場合は、足趾上腕血圧比(TBI)や皮膚灌流圧(SPP)などを用いて末梢の血流を評価します。

画像検査

超音波検査(エコー)、CT血管造影(CTA)、MRI血管造影(MRA)、カテーテルによる血管造影(DSA)などが行われ、どこがどのくらい詰まっているかを特定します。

重症度別の治療内容と目標値

ASOの治療は、Fontaine分類による重症度によって目的が異なります。

共通する治療の大方針としては、「生命予後改善」を目的に、積極的な動脈硬化危険因子の管理(是正)を行うことにあります。

動脈硬化「5つの危険因子」の是正

心血管危険因子である以下の5つの項目を中心に、厳格な目標値を設定して治療を行います。

危険因子 主な治療内容 指標・目標値
喫煙 徹底した禁煙指導 完全禁煙
脂質異常症 食事療法 + 脂質改善薬(スタチン等) LDL < 100 mg/dL
※冠動脈疾患合併なら < 70
糖尿病 運動療法 + 食事療法 + 薬物療法 HbA1c < 7.0 %
高血圧 薬物療法 + 減塩指導 < 140 / 90 mmHg
※合併症等により130/80
肥満症 運動療法 + 食事指導による減量 BMI < 25
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無症状~軽症(FontaineⅠ)

下肢病変に対する予防的な血行再建術(カテーテル治療やバイパス手術)は推奨されていません。動脈硬化の進行を防ぐための「リスク管理」を中心に行います。

  • 抗血小板薬、スタチン、ACE阻害薬/ARB 等の動脈硬化管理。
  • 厳格なリスク因子管理:禁煙、糖尿病・高血圧・脂質異常症のコントロール。

中等症(Fontaine Ⅱ度:間欠性跛行)

運動療法(監視下での歩行訓練)が最も適応となり、効果を発揮する段階です。具体的な運動療法とその際のリスク管理については次回に解説します。

  • 運動療法と薬物療法が中心
  • 抗血小板薬の第一選択:シロスタゾール。冠動脈疾患合併例はアスピリン。
  • 保存的治療で生活に支障が強い場合は、血行再建術(EVT・バイパス)を検討します。

重症虚血肢(Fontaine Ⅲ~Ⅳ度:CLTI)

足が腐死する(壊疽)リスクがあるため、迅速な血行再建術(カテーテルや外科手術)が最優先です。血流が改善した後に、積極的な運動療法を指導します。

  • 組織灌流の改善が最優先で、創傷管理・感染コントロール・オフローディング(免荷)などを併用します。
  • 切断回避のため、血管外科・形成外科・リハビリなど多職種連携が必須です。

⚠️ 運動療法の禁忌:CLI(重症下肢虚血)や感染を合併した場合、急性動脈閉塞、不安定狭心症、非代償性心不全などを合併している場合は、運動療法が禁忌となります。

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最後に

ゆ~き
ゆ~き

ここまでご覧いただきありがとうございます。

今回は、閉塞性動脈硬化症(ASO)の症状やFontaine分類、重症度別の治療内容について解説しました。

『歩くと足が痛い』という間欠性跛行を見逃さず、早期から末梢動脈疾患の危険因子(喫煙や糖尿病など)をコントロールすることで、カテーテル治療や足の切断へと至らないよう、多職種で指導していくことが重要になります。

次回【後編】では、ASOのリハビリテーションとして、『間欠性跛行を改善するための具体的な運動療法(歩行訓練)のプログラム』『リスク管理』について詳しく解説します!

👉 次回の記事はこちら:【後編】閉塞性動脈硬化症の運動療法とリスク管理のすべて|心リハ指導士が徹底解説

ゆ~き
ゆ~き / 理学療法士・心リハ指導士

急性期病院に勤務する現役理学療法士(臨床経験6年)。心臓リハビリテーション指導士の資格を活かし、若手セラピストが「明日からすぐ使える」実践的な知識を分かりやすく発信中!データ分析や医療AIにも関心があります。

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参考文献

  • 日本循環器学会 / 日本血管外科学会合同ガイドライン 2022年改訂版 末梢動脈疾患ガイドライン JCS/JSVS 2022 Guideline on the Management of Peripheral Arterial Disease.
  • 日本循環器学会/日本心臓リハビリテーション学会(2021).「心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン」.https://www.jacr.jp/cms/wp-content/uploads/2015/04/JCS2021_Makita2.pdf.

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